【知的財産】SDGsの観点から特許を分析する

知的財産の中で特許は新しい技術やアイデアを守るための権利です。法律上保護される利益に係る権利として保護されています。企業ではこの特許権を事業戦略や資金調達の一環として、またアカデミアでは研究成果を守る権利として論文と共に活用しています。

この様な書き方をすると小難しい内容に聞こえるかもしれませんが、要はまだ形になっていない自分たちの新しい技術やアイデアを競合他社や研究者たちに模倣されたり、利益を得るために使われないようにするための公的手段の一つが特許と言えるでしょう。

今回はこの特許を用いて、世界各国のSDGsに関する新技術の傾向について分析した面白い事例をお伝えしたいと思います。

2010年以降に出願された公開特許公報を読み解く

特許庁に出願された特許のうち、2010年以降に出願された公開特許公報を抽出してその内容を読み解き、アイデアや技術の内容がSDGsのどのカテゴリに属しているかを調べたデータがあります。

日本の場合、ほぼ目標9と3に注力した特許が出願されていることがわかります。

出願数 順位SDGs目標別
9:産業と技術革新の基盤をつくろう
3:すべての人に健康と福祉を
引用元:一般財団法人 日本特許情報機構


海外のSDGs事情と特許の出願件数傾向

海外の事情についても調査したデータがあります。米国、中国、韓国、台湾、イギリス、ドイツにおいて2010年以降に出願された公開特許公報を同様に読み解いた結果、環境先進国のドイツでは他国と比較して以下の目標に関する出願が多かったようです。

ドイツが注力するSDGs目標
7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに
11:住み続けられるまちづくりを
13:気候変動に具体的な対策を
引用元:一般財団法人 日本特許情報機構


2013年に政府の助成制度などで知的財産の出願を奨励し、出願件数を激増させた中国ですが、.現在では太陽光パネルや風力発電分野で高いシェアを有しています。他国と比較して目標13に注力していることがわかります。

また、第12次5ケ年計画(2011年~2015年)に「農業の科学技術イノベーション」をうたう中国は目標2にも注力していることがわかります。

中国が注力するSDGs目標
13:気候変動に具体的な対策を
2:飢餓をゼロに
引用元:一般財団法人 日本特許情報機構


こうした特許情報を活用したSDGsの見える化は今後も続くものと考えています。将来を見据えてアイデアや技術を形にした特許とその分析結果は、ある意味、未来予想図と言えるのかもしれません。